2022年8月30日、ツイッターにあるゲームがトレンド入りを果たしました。
それは「ドラッグオンドラグーン」、「伝説の鬱ゲー」と呼ばれるこのゲームは2003年に発売したPS2ソフトです。
そんな古いゲームが今になって何故トレンド入りを果たしたのか。
「伝説の鬱ゲー」とはどういことなのか、解説していきましょう。
「ドラッグオンドラグーン」突然のTwitterトレンド入り!一体なぜ?
結論から言ってしまうと「ドラッグオンドラグーン」が突然Twitterトレンド入りしたのはローソンの説明不足です。
2022年8月30日よりローソンではアウトドアブランド「DOD」とのコラボキャンペーンを実施しており、対象商品を購入してスタンプを集めればDOD商品などアウトドア用品がもらえるようになっています。
ローソンではその告知のために「ローソンDODコラボ」とハッシュタグをつけたところ、この「DOD」を「ドラッグオンドラグーン」だと勘違いしたユーザーが続出。
誤解は解かれたものの、「ドラッグオンドラグーン」のコラボではなかったことに残念がるユーザーもおり、「ドラッグオンドラグーン」の人気の高さをうかがえます。
「ドラッグオンドラグーン」伝説の鬱ゲーとは?その理由を解説!
前述しましたように「ドラッグオンドラグーン」とは2000年代に発売したRPGです。
現在では救いようがない、あるいはショッキング過ぎてトラウマになってしまう作品は漫画にしてもアニメにしても山ほどあります。
とはいえ2000年代でもその手の鬱ゲー、あるいは鬱展開を交えたゲームは珍しくありませんでした。
「さよならを教えて」、「ゼノギアス」、「serial experiments lain」、「スクールデイズ」、「かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄」。
賛否両論なゲームもありますが、鬱ゲーと呼ばれるゲームたちは良くも悪くもプレイヤーの思い出に残っています。
そのなかでも「ドラッグオンドラグーン」がなぜ「伝説」と謳われているのか、それは
・登場人物たち全員頭がおかしい(あるいは、おかしくなっていく)
・全部マルチバッドエンディング
・「救いのない」が受け継がれていくシリーズ
ですね。
登場人物たち全員頭がおかしい(あるいは、おかしくなっていく)
「ドラッグオンドラグーン」で外せないポイントであり、「ドラッグオンドラグーン」の鬱ゲーぶりを深めている要因でもあります。
「ドラッグオンドラグーン」の世界はファンタジー世界・異世界ミッドガルド。
ミッドガルドでは「女神」に選ばれた女性を崇め、彼女たちに施された「封印」は世界のバランスを保つために必要なものだとされていました。
ところが突然「帝国軍」という天使を信仰する集団「天使の教会」が出現し、各地で虐殺や暴行をするように。
既存の国家や組織は「連合軍」となって戦うものの、「天使の教会」もとい「帝国軍」は異様な強さをもって「連合軍」を圧倒していました。
宗教を持ち出している時点でヤバイですが、さらにヤバイのは登場人物たちです。
登場人物たちは全員「連合軍」と「帝国軍」の戦いで人生を狂わされた者たちばかりで、その過程で魔物と契約して力を手に入れた者「契約者」となります。
しかしその人間性は正気を疑うところが多く、例えば主人公カイムは一国の王子でしたが、親である王を「帝国軍」のブラックドラゴンに惨殺された光景を目にして精神が半壊。
その後「帝国軍」の兵士が死んだ後でも執拗に剣で切り刻む復讐鬼と成り果てます。
カイムの復讐鬼ぶりだけでもお腹いっぱいですが、こんなのは序の口です。
「女神」の立場に不満を抱えながら兄である主人公を女として慕う妹・保身しか考えていない神官・コンプレックスが半端ない幼馴染・子供が大好きで、そのせいで家族を失うことになった隠居者・「帝国軍」に子供と夫を惨殺されて精神を病み、子供を喰らうようになったエルフの女性などなどカイムの仲間になるキャラはどいつもこいつもキメています。
唯一の常識人枠はカイムの相棒であり契約対象でもあるレッドドラゴンだけ。
常識人が人間じゃない時点でお察しです。
また「ドラッグオンドラグーン」はルートによって言動がマジで狂うこともあり、例えばカイムの幼馴染・イウヴァルトはどのルートでも敵対するのですが、急に幼くなったり発音ができなくなったりなどえげつない演出がいっぱいです。
全部マルチバッドエンディング
「ドラッグオンドラグーン」は最初プレイしていくとAエンドを迎えます。
Aエンドとは「天使の教会」の首謀者・マナを正気に戻し、彼女に贖えない贖罪が決定したところで次代の「女神」としてレッドドラゴンに「封印」を施すというエンドです。
ちゃんと意思疎通をしてきたわけではないものの、ともに戦い抜いた相棒が犠牲となるエンドは物悲しく、またやるせません。
そのためプレイヤーたちは救いを求めて他のエンドに向けて攻略を始めたのですが、待ち受けていたのは絶望ばかり。
死んだ妹フリアエが化け物になって復活するBエンド、レッドドラゴンが竜の本能に従って人間と敵対するCエンド、マナを狂わせた「神」の蹂躙を止めるべく世界の時を止めるDエンド。
そして極めつけが伝説のED「新宿エンド」です。
EエンドはDエンドの派生で、「神」の使者テキ(赤ちゃん)の母体である「母」を倒すためにカイムとレッドドラゴンが戦いに挑むのですが、「母」は異世界もとい「神の国」に転移。
カイムたちもすかさず追いかけるものの、その「神の国」はなんと日本の新宿だったのです。
とはいえカイムたちは「母」との戦いに全力で挑み、勝利するものの、直後に自衛隊によるミサイル攻撃をもろに受けて死亡。
その遺体は東京タワーに突き刺さるのでした。
いちおうFエンドとしてAエンド後の正式な続編「ドラッグオンドラグーン2」における2人の末路が数えられているものの、「ドラッグオンドラグーン」ではEエンドで打ち止めです。
救いを求めてプレイしたのに結局救われず、むしろ絶望に突き落とされたことにプレイヤーたちはショックを受けました。
「救いのない」が受け継がれていくシリーズ
「ドラッグオンドラグーン」の生みの親、ヨコオタロウが手がける作品は数多いです。
そのなかでも「ドラッグオンドラグーン」は人気ゲーム「ニーア」シリーズの源流となっています。
というのもEエンドもとい「新宿エンド」には続きがあり、カイムたちを退けた日本はその後「母」やレッドドラゴンの残滓・魔素によって人間たちが生きたまま塩になってしまう奇病・白塩化症候群が広がり、日本はおろか世界が滅んでしまいます。
その滅びから逃れるために世界は研究を重ねていき、魂と肉体を分離する技術を生み出しました。
それが「ニーア レプリカント」の悲劇の始まりです。
「ドラッグオンドラグーン」を知らなくても「ニーア」本編だけで相変わらずな鬱展開、もといヨコオ節が炸裂しています。
余談ですがヨコオタロウは「ドラッグオンドラグーン」の発売日、「ドラッグオンドラグーン」が衝撃的過ぎて2ちゃんねるでヨコオをロッカーに閉じ込めてボコボコにするAAが流行り、「横尾ロッカー」というワードの生みの親にもなりました。
まとめ
「ドラッグオンドラグーン」が8月30日にTwitterトレンドしたのはローソンの説明不足です。
そんな「ドラッグオンドラグーン」が伝説の鬱ゲーと言われる理由は世界観や登場人物、マルチエンドにシリーズなど全て絶望しかないからです。
ちなみにヨコオタロウは今でも鬱作品を量産しています。