日本屈指のパワースポット、伊勢神宮は縁起が良いイメージがあります。
実際に縁起が良い土地であるものの、同時に「夫婦で行ってはいけない」という話も付きものです。
伊勢神宮のイメージにはそぐわない話ですが何故「夫婦で行ってはいけない」のか、その背景を含め、「やってはいけないこと」を調べてみました。
伊勢神宮に夫婦で行ってはいけないのは遊女が流した噂!
結論から言ってしまうと、「伊勢神宮に夫婦で行ってはいけない」というのは遊女が流した噂が始まりだと考えられています。
かつて伊勢神宮外宮と内宮のあいだには「古市遊郭」という歓楽街があり、「お伊勢参り」でにぎわった江戸時代には70軒の妓楼が並び、1000人の遊女が夜の街にいたそうです。
「伊勢神宮の近くに遊郭があるなんて……」とショックを受けているかもしれませんが、実のところ、遊女と神社は切っても切れない関係だったりします……正しくは「遊女と巫女が」といったところでしょうか。
巫女と遊女の関係
元々、巫女は「天の岩戸」で文字通り一肌脱いだアメノウズメを源流としています。
かの女神の踊りは「儀式を通して神と交信する」と解釈され、のちに格が高い女性……すなわち皇女や皇后の役割となりました。
天照大御神のご神体をまつるのにふさわしい土地を探し求め、ついに伊勢の地にたどり着いた倭姫命(やまとひめのみこと)が代表的だと思います。
こうして女性たちは神聖視されていきました……が、男性社会の台頭や仏教の定着によって女性の存在は軽くなっていきます。
・「生理中に神社には行ってはいけない」
と親やお年寄りに言われる女性たちがいるのは、その名残です。
これは「血=穢れ」という考えのせいですが、いちおう言っておくと「気枯れ(疲れ)=穢れ」が正しい解釈となっています。
気枯れとは体が弱っていることを指しており、生理は「血=生命(活力)を流している」と考えられました。
よって「生理中に神社に行ってはいけない」という忠告は
・「無理せず、まずは身体を労わりなさい」
というのが本来の意味合いとなります。
しかし「血=穢れ」という考えは根強く、権威を失った巫女たちは民間へと移っていくものの、そこでも暮らし向きは良くなりませんでした。
そのうち1つの神社に留まらず、全国を練り歩く「歩き巫女」が生まれます。
彼女たちは祈祷や託宣などシャーマン的なこともしていたものの、語り部や芸能、そして遊女も行いました。
いずれにしても巫女として社会的な力を失うと、遊女に転落していったといっても過言ではありません。
「夫婦で行ってはいけない」という噂は遊女の策略!?
とはいえ古市遊郭が生まれた背景はそうした歴史的な背景よりも、単純に伊勢神宮の参拝者が増加したからです。
江戸時代にブームとなった「一生に一度のお伊勢参り」、そうともなれば心ゆくまでお伊勢参りを楽しみたいのが人の心と言えましょう。
当時の男性たちは参拝後、色街に寄り道することを「精進落とし」と称しました。
面白いことに遊女たちも参拝を済ませていない男性をお断りしていたらしいです。
とはいえ、夫婦連れでは色街には立ち寄りにくいもの。
そこで遊女たちは「夫婦で行ってはいけない。別れてしまうから」という噂を流し、客入りをスムーズに計らったとされています。
男性もこれ幸いに「お前と別れたくないから1人で行ってくる」と告げ、お伊勢参りに向かったのではないか?と考えられてもいます。
「天照大御神が嫉妬するから」という理由は男の言い訳!?
よく「伊勢神宮に夫婦で行ってはいけない」理由として
・「神宮にお祀りされている天照大御神が嫉妬し、夫婦やカップルを別れさせる」
という話を聞きますが、これは先述した遊郭に出かけた男性側の言い訳の1つだと考えられています。
つまり
・「お前を連れていったら天照大御神様が嫉妬して別れてしまうかもしれないから、俺1人で行ってくる!」
と言ってお伊勢参りしたというわけです……明らかに参拝後に遊郭を楽しむことを考えているのが感じられている言い訳ですが、女性のことでだらしなくなるのは昔も今も変わっていなくて、ちょっとだけ笑ってしまいます。
観光地化しているのも夫婦や恋人が別れてしまう背景になっている?
「お伊勢参り」がブームになった江戸時代から伊勢神宮とその周辺は観光地のようなものでしたが、現代において伊勢神宮を「SNS映えする観光地」と考えている人は多いです。
そのため伊勢神宮を訪れる人々は毎年、そして毎日後を絶たず、令和元年には年間900万人が来訪したと言われています。
この人の多さが夫婦や恋人が破局する原因だと考える人は少なくないです。
もはや伊勢神宮とその周辺は常に混雑している状態で、昼食やちょっとした休憩も待ったり並んだりしなくてはなりません。
参拝でも思ったよりも自然が多く、履いてきたヒールやパンプスが歩きにくく感じる女性も多いかと思います。
そうするとつい愚痴をこぼしてしまいますが、相方は「せっかくお伊勢に来たのに……」とうんざりするでしょう。
そうしてそのウンザリした雰囲気を感じ取り、2人は次第に衝突し、ついには喧嘩するという流れが出来てしまいます。
そうでなくても混雑した場所に長く留まるのは疲れたり、意見の食い違いが出たりなどトラブルがつきものです。
こうしたトラブルが夫婦や恋人の関係に亀裂を入れるのではないか、と思われています。
伊勢神宮のお参りで「やってはいけないこと」を知ろう!
基本的に神社という神域は大らかですが、限度があります。
例えば伊勢神宮の公式HPでは「なぜ参道の杉に竹が巻いてあるのですか?」という質問に対し
・「以前、参拝の記念にと杉の皮を持って帰られようとした方がいたため」
と答えています。
つけ加えるなら「参拝者の衣服が杉にこすれて傷まないように」という配慮もあるそうですが、問題は恥知らずがいるということです。
伊勢神宮は国内でも神聖な場ではあるものの、そのビッグネームにつられて変な輩もまたうろついています。
(以前、参拝した時にいかにもカルト的な集団と遭遇した時はドン引きしました……)
というわけでそんな恥知らずの仲間入りをしないよう、伊勢神宮のお参りで「やってはいけないこと」をまとめてみました。↓
鳥居をくぐる前に一礼しない
これは伊勢神宮に限った話ではありませんが、鳥居をくぐる前に端によって一礼しましょう。
神様にとって境内は自分のテリトリーです。
誰だって勝手に自分の家の庭や室内に入り込んだら、嫌な気分になります。けれども前もって「失礼します」と声をかけてくれたり、チャイムを鳴らしてくれたりすればそんな気分にならずに済むものです。
神様だって同じこと、参拝において大切なことは礼儀を忘れないことに尽きます。
参道の真ん中を歩く
これも全ての神社に通じるマナーです。
「参道の真ん中は神様の道」と考えられており、そこを通るのは無礼に当たります。よって人間はなるべき橋によって歩くようにしましょう。
境内のものに触ろうとする
先述した内宮の杉の話をはじめ、近年、外宮の「三ツ石」など「ご利益があるから」と言ってむやみやたらに触れようとしたり手をかざしたりする人が急増しています。
あえてハッキリ言いましょう……あなたはご自身がいる場所すら分からないんですか?
そこは伊勢神宮、国内屈指のパワースポットです。
そこに訪れていること自体が幸運であり、だからこそ伊勢神宮には運を教えてくれるおみくじがありません。
だというのに「ご利益があるから」というデマに踊らされ、さらなる開運を求めるのは厚かましいにもほどがあります。
くわえてそうした場所にも神様が祀られているため、神様にとっても仕えている宮司・巫女にとっても迷惑です。絶対に止めましょう。
もしもすでにやってしまった後なら後日天照大御神が祀られている分社に向かい、「ごめんなさい」と謝ることをおすすめします。
個人的なお願いをする
神様を拝むと、つい「○○したい!」や「○○できますように!」と願ってしまいますが、これも伊勢神宮ではNGです。
伊勢神宮では「個人的なお願いはしてはならない」という風習があり、拝む時は「いつもありがとうございます」や「世界が平和になりますように」など日頃の感謝や公的なお願いをするものだとされています。
もっとも神宮側の考えとしては「決して個人的な願いを祈ってはいけない」とあり、感謝とともに伝えれば問題ないようです。
地元では個人的なお願いは「荒祭宮」と「多賀宮」ですべき、とも伝えられています。
派手な服装をする
観光地と化していることもあり、また近くに宿泊施設があることもあって派手なコーデをしている人たちがいたりします。
良く言えば「身なりを気にしている」とも言えますが、あまりにも派手な(露出度が激しい)服は参拝に向いていません。
むしろ正装に身を包むのが伊勢神宮の参拝として正しい服装です。
そうでなくても、きちんとした普段着であるべきでしょう。
まとめ
「伊勢神宮に夫婦で行ってはいけない」というのは、少しでも客(男性)を引き込もうとした遊女たちの知恵が始まりだったようです。
よく聞く「天照大御神様が嫉妬するから」は男性の言い訳っぽいのは、クスッと笑ってしまいます。
とはいえ「夫婦で行ってはいけない」というのがただの噂だったとしても、「やってはいけないこと」が伊勢神宮には確かにあります。
それが神様を怒らせるかもしれないので要注意です。