「ミステリというなかれ」は人気コミックではあるものの、やはり批判的な評価もつけられています。
特に「気持ち悪い」という声は後を絶ちません。
「面白い」の反対が「つまらない」ではなく、「気持ち悪い」というのは「ミステリというなかれ」特有の反応だと思います。
なぜそう思うのか、その理由について解説していきましょう。
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「ミステリというなかれ」の気持ち悪いポイント
「ミステリというなかれ」を読んで「気持ち悪い」と思った人たちはどの部分について、そう思ったのでしょうか?
そのポイントを大きくまとめると、論理的な説教・生っぽいキャラ・絵柄にしぼられます。
ポイント1.論理的な説教
「ミステリというなかれ」の様式美といったら、主人公・久能整のうんちくです。
整は「僕は常々思っているのですが」と前置きしてから、海外でおこなわれているサービスや制度などを語り、それを踏まえたうえで相手を励ましたり意見をぶつけたりします。
この整のうんちくが「ハッとさせられる」「心に刺さった」という声がある一方で、
・説教臭い
・ポリコレできつい
・フェミニズムすぎて、もう読むの無理
といった声も出ています。
説教臭いというのは、整がうんちくを語った後で持論を展開する流れに対してですね。
元々「ミステリというなかれ」は作者の田村由美さんいわく、
・「整がただただ しゃべりまくる話です」
・「ちょっと 舞台劇のような イメージで やってるとこ あります」
・「閉鎖空間での 会話だけの お話です」
と1巻の「おまけのたむたむたいむ」で語られています。
そのため整が喋りまくるというのは「ミステリというなかれ」の基本的なスタイルなんですが、このスタイルについて「くどい」や「大学生が話す内容じゃない」という声が生まれる背景になっているようです。
また整の話はポリコレ(ポリティカル・コレクトネスの略、差別をなくして平等もしくは中立であろうという考え方を意味しています)やフェミニズムに偏っており、特にファミニズムはその性質上、男性が避難されてしまいます。
それがまた悪感情を招く原因となっているようです。
ポイント2.生っぽいキャラ
整はそのクセのある性格からか、友人も恋人もいない大学生でもあります。
そのコミュ障な設定をはじめ、「ミステリというなかれ」の登場人物たちは生っぽい事情を抱えており、それが「気持ち悪い」と思わせてしまうらしいです。
例えばガロの姉・愛珠を生き埋めにした運転手・煙草森誠は隠すことで片付けたと思う人間で、愛珠を生き埋めにしたのも片付けただけでした。
そのため罪の意識は一切なく、精神鑑定に持ち込んで罪を軽くしようと嗅ぎつけたガロたちがさらって報復しようとした時は
・「お姉さんが死んだせいで 殺人犯にされてしまった」
・「迷惑この上 ないです」
・「わたしこそ 被害者なんですよ」
と堂々と言い放ちます。
煙草森だけでなく、「ミステリというなかれ」の犯人たちは総じて自分本位です。
そうでなくても日常的なストレスや人並みの悪さを描かれており、妙なリアリティに気嫌悪感を抱く人はいるみたいですね。
ポイント3.絵柄
「ミステリというなかれ」は「フラワーコミックス」に分類されている漫画で、いわゆる少女漫画です。
そのため絵柄が少女向けになっており、キラキラしたトーンやキャラっぽい口元(△やωなど)といった描写がたくさんあります。
こうした絵柄に対して「気持ち悪い」といった声が相次いでいるのが実際のところです。
「ミステリというなかれ」のパクリ疑惑も「気持ち悪い」理由?
「ミステリというなかれ 気持ち悪い」と検索すると、2021年8月に起こったパクリ疑惑をまとめているページが上位にヒットします。
「ミステリというなかれ」のパクリ疑惑とは2021年8月にSNSを中心に湧いた騒動で、一時は2022年1月に放送予定のドラマの中止が不安視されたほどです。
「ミステリというなかれ」3巻にて描かれた父親たちを対象とした実験が「2015年のtwnovel(ツイノベ)と酷似している」と指摘され、炎上しました。
これを受けて田村由美さんと編集部は「誤認したまま引用してしまった」と認めて謝罪。引用された側の執筆者・水木ナオさんも快く許したおかげもあり、現在、パクリ疑惑は解決しています。
この件に関しては「気持ち悪い」という声よりも、「パクリとかありえない」や「何とかなって良かった」など炎上時と解決後のコメントのほうが多いですね。
「ミステリというなかれ」のパクリ疑惑はヘイトこそは稼いだものの、「気持ち悪い」には至らなかったようです。
ミステリというなかれのパクリ疑惑の詳細についてはこちらをご覧ください。
「ミステリというなかれ」はこんな人におすすめ
これまで「ミステリというなかれ」に対する「気持ち悪い」という声とその詳細を紹介してきましたが、圧倒的に「面白い」という感想が「気持ち悪い」を上回っています。
常識に対する整の独特な回答や考察、ミステリでありながらもトリックがない斬新な接待などが面白いポイントですが、そのどれもが思慮深いです。
ミステリというジャンルは犯人を当てることをモットーにしているため、登場人物たちの生活やその後に関しては二の次となっています。
しかし「ミステリというなかれ」の事件は日常の延長線上であるため、本来ミステリで二の次にされてきた要素が重要視されているのが特徴的です。
また前述で触れたようにフェミニズムの一面が強いため、女性に関わる悩みが描かれてもいます。
第1巻では子育てや妻との付き合いに苦労している男刑事たちに整が一言喋りますが、これもまた新鮮な感覚を与えてくれるのです。
そんなわけで「ミステリというなかれ」は日常の描写が好きな人をはじめ、育児や家事をしている人、軽薄なストーリーよりも丁寧なストーリーのほうが良い人におすすめできます。
関連記事:「ミステリというなかれ」電子書籍が安いのはここ!無料で読む方法は?
まとめ
「ミステリというなかれって漫画、気持ち悪い」というコメントに対して言及するとキリがないものの、そう言っている人の気持ちも分からなくありません。
ただコロナ禍が収束しない現在、一人語りをしやすい作品は好まれていると思います。
あくまで個人的な考えですが、同時にドラマでは「ミステリというなかれ」のこういうところをどのように表現されるのか気になりますね。