2022年1月にドラマが放送されるにあたって、ますます注目されている「ミステリというなかれ」ですが、2021年の夏にその放送が危ぶまれました。
それは「ミステリというなかれ」にパクリ疑惑が浮上したからです。
今回はそのパクリ疑惑について説明していきます。
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「ミステリというなかれ」人気コミックにパクリ疑惑
2021年8月、突如として「ミステリというなかれ」にパクリ疑惑が浮上します。
この頃、「ミステリというなかれ」はドラマ化が発表されており、主人公の久能整役に菅田将暉さんが抜擢したということが知られていました。
実は菅田将暉さんにとって月9での主演作は「ミステリというなかれ」が初めてだったりします。
元々人気コミックということもあって注目されていたものの、このパクリ疑惑のせいで悪い意味で世間の関心を集めてしまいました。
もちろん、SNSでは
・「やっぱりパクリだと思っていた」
・「こんな作品をドラマ化にするなんて世も末」
・「話題になったツイートをよく取り上げるなと思っていたけど……」
といった厳しすぎる声が相次ぎ、炎上。
一時はドラマの中止が囁かれ、菅田将暉さんの今後も不安視されたほどです。
「ミステリというなかれ」問題のシーンと元ネタの小説
「ミステリというなかれ」のパクリ疑惑がここまで炎上した理由は、ひとえに言い逃れできない証拠があったからです。その1つ1つをお話していきましょう。
1.問題のシーンが収録されているのは3巻「episode4-4 鬼の集い」
パクリが疑われたシーンは「ミステリというなかれ」3巻「episode4-4 鬼の集い」で、133目のページとなります。
「episode4-4 鬼の集い」は広島にやってきた整がガロと知り合いの少女・狩集汐路に「ガロ君の代わりになって」と頼まれ、渋々、狩集家の遺産相続に巻き込まれていくエピソードの1つです。
ネタバレになりますが、「命の危機が迫っているから」と言っていた汐路が実は同じく遺産相続人のいとこたちに疑心暗鬼を植え付けていた犯人だと判明します。
整は関係者や汐路の母親から「汐路の父親が居眠り運転を起こしてしまい、同乗していたいとこたちの親たちも死なせてしまった」という事実を知り、汐路が散々いとこたちがいがみ合うように工作したのは「事故ではなく、遺産を巡って殺し合ったということにしたかった」と言い当てました。
そこにいとこたちも現れ、汐路が未成年であること、また汐路の父親が起こした事故を責めすぎたことを挙げて汐路の工作を許します。
なんとか円満に終わった……かと思いきや、整自身が車で轢かれそうになったことを皮切りに汐路の父親が起こした事故は他殺である可能性が出てきました。
「episode4-4 鬼の集い」は和解したいとこたちとともに狩集家で起こる遺産相続人の死の真相、ひいては汐路の父親たちが死ぬ直前までの行動の足取りを辿るエピソードとなっています。
2.「episode4-4 鬼の集い」のp.133がパクリではないか?
そんな「episode4-4 鬼の集い」の中盤で、いとこたちの1人・赤峰ゆらが父親に
・「あまり一人でフラフラと出歩かないように」
・「おまえももう 仕事を やめたんだから」
・「家にいて 子育てや簡単な家事だけ していいのは 楽だろう」
といとこたちとともに出かけたのを咎められつつ、女の幸せを言い聞かせます。
それを聞いていた整は、ゆらの父親に「ネットでちらっと見た記事」という前置きをしてからこんな話をしました。
・父親たちを集めたある実験の話
・簡単な計算問題もしくは何かのペーパーを渡して1時間内に解くこと
・数分おきに電話をかけたり、話しかけたりなど主催者側が邪魔をする
・結局、集まった父親たちは制限時間内に問題を解けなかったので主催者側に怒り出す
・主催者側は「これが 子育てをする母親たちの毎日です」と言う
作中ではゆらの雰囲気を察せず、自分の言いたいことだけを言うゆらの父親に対して整なりに文句をいうシーンでもありますが、この例え話は2015年1月26日にツイッターで公開された小説とほぼ同じなのです。
3.水木ナオのtwnovel(ツイノベ)
2015年に同様のツイノベを書いてバズったことがあり、yahooトップでも紹介頂いていたので、もしそれが目に止まっていたのであれば嬉しい限りです✨ https://t.co/YIYN1NZevI pic.twitter.com/dhLTzHfwio
— 水木ナオ* (@nytf_fm) August 15, 2021
2015年1月26日にツイッターで公開した小説は水木ナオさんのtwnovel(ツイノベ)です。
水木ナオさんはツイッターで活動している栃木県出身の女性で、Twitter小説大賞など様々な賞を受賞しています。
twnovelとはツイッターの140字という文字数の制限を活かし、140字以内で小説を書くという試みです。
よって出来上がる作品は超短編であるものの、数多くの執筆者を生み出しました。
水木ナオさんが2015年1月にツイッターで投稿小説は
・父親教室の体験教室に集まった男性たちにテストが配られる
・制限時間は30分
・しかし主催者である看護師が話しかけたり、電話をしたりして男性たちの邪魔をする
・結局、全員テストを解けなかった
・苛立つ男性たちに、看護師は「それが赤ん坊を抱える母親の気持ちです」と言う
といったストーリーになっています。
「ミステリというなかれ」パクリ疑惑の顛末
「ミステリというなかれ」のパクリ疑惑が持ち上げられたシーンは2018年に描かれたもの、一方で水木ナオさんのtwnovelは2015年です。
多少の違いはあれど、あまりにも酷似しているうえに発表した年も明らかなので「ミステリというなかれ」は炎上しました。
これに対し、「ミステリというなかれ」の作者・田村由美さんと編集部は潔く謝罪しています。
田村由美さんは
・「episode4-4で描いた実験は水木ナオ様の作品を実在の実験だと誤認した」
・「この実験で救われた人が多いのではないかと思い、作中で紹介した」
・「事実の確認を怠ったのを猛省しています」
・「水木ナオ様に深く謝罪いたします」
とコメントし、編集部も
・「連載時に十分な確認を怠って、水木ナオ様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします」
と説明しています。
その気はなかったけれども、パクリを認めたというわけです。
一方、このパクリ疑惑について水木ナオさんは
・「yahooトップでも紹介いただいていたので、もしそれが目に止まっていたのであれば嬉しい限りです」
と怒らず、むしろ自身の作品が再注目されたことに喜びのコメントをしました。
SNSでは
・「水木ナオさんの対応、マジ神対応」
・「元ネタさんからも了承を得たっぽいし、良かった」
・「田村さん側は大慌てしただろうなぁ」
といった今回の騒動における両者の対応を高く評価し、これによりパクリ疑惑の炎上は落ち着いていくのでした。
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まとめ
なんともお騒がせな出来事でしたね。
丸く収まって何よりですが、それが出来たのは田村由美さん側と水木ナオさん側が誠実な対応をしたからでしょう。
見習いたいものです。
当然ながら「ミステリというなかれ」では二度とパクリ疑惑が起きてほしくありませんね。