「ウマ娘」のサイレントスズカといったら儚げな雰囲気の美少女で、モデルとなった競走馬サイレントスズカをリスペクトして圧倒的な速さを見せつける逃げ馬として活躍します。
アプリでは「微妙」という意見もあるものの、多くのユーザーから愛されているウマ娘です。
そんな彼女は「死ぬのではないか?」とファンをハラハラさせた時期があります。
一体なぜ「死ぬのではないか?」と囁かれたのか、解説していきましょう。
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ファンをハラハラさせた「ウマ娘」season1、第7話「約束」
サイレントスズカはアニメ「ウマ娘 プリティーダービー」season1第1話から登場し、主人公スペシャルウィークはその「大逃げ」ぶりからサイレントスズカに憧れます。
一方サイレントスズカは最初こそはスペシャルウィークに関心を持たなかったものの、トレセン学園きっての最強集団・チームリギルに馴染めず、スペシャルウィークも籍を置いたチームスピカに移籍したことや寮部屋のルームメイトになったことから親しく交流を重ねていくうちに「スペちゃん」と呼ぶようになりました。
菊花賞後はスペシャルウィークとは別の道、アメリカ行きを決めていたことを告げるものの、「それならせめてジャパンカップで対決したい」というスペシャルウィークの願いを受け入れます。
そのためには秋の天皇賞に挑まなくてはなりませんが、チームスピカでの日々やこれまでの快進撃もあってサイレントスズカのコンディションは絶好調でした。
スタートから最高の走りを見せ、エルコンドルパサーをはじめとしたウマ娘たちを遠くに置き去りにしてみせます。
そのスピードは1000mの標識を57秒で通過するほどで、しかもどんどん加速していきました……が、3コーナーもとい大欅のあたりでサイレントスズカの様子がおかしくなります。突然、左足に激痛が走ったのです。
その痛みでサイレントスズカの大勢は大きく崩れてしまい、レースはエルコンドルパサーの勝利で終わります。
けれどもサイレントスズカはその速さゆえに減速することもできず、走り続けていたのですが、観客席から飛び降りたスペシャルウィークが受け止めることでようやく止まることができました。
そして会場に居合わせたトレーナーの指示により、最悪の事態を回避できたのです。
最悪の事態……それは走ることはもちろん、命を失うことを意味しています。
競走馬サイレントスズカの最期「沈黙の日曜日」
競走馬サイレントスズカが最後に出走したのは1999年11月1日、第118回天皇賞(秋)です。
これまで出走した宝塚記念などで連戦連勝を飾っていたサイレントスズカの走りをその日、大勢の競馬ファンが期待に胸を高鳴らせていました。
馬券の売り上げもサイレントスズカが一番で、騎手だった武豊さんも担当厩務員さんも「一番調子がいい」と言っていたほど体調も抜群でした。
そして始まったレースでは圧倒的な差をつけさせ、7~8馬身ぐらい開いたリードはカメラをいっぱい引いたとしても後続の馬たちが入らなかったと言われています。
しかし大欅のあたりからサイレントスズカの歩調は乱れ、失速していったのです。
走る前から勝利が約束されていたサイレントスズカの異変に会場はおろか実況さえも動揺しました。
この時、実況していたフジテレビの塩原恒夫氏から飛び出した「沈黙の日曜日」はまさにサイレントスズカに起こった悲劇をあらわしており、そのままサイレントスズカの最期のフレーズとして用いられています。
サイレントスズカに何が起こったのか。
それは言うまでもなく故障、もとい骨折でした。
大欅のあたりに差しかかったところでサイレントスズカの左脚が骨折してしまったのです。
しかしサイレントスズカは残りの脚で踏ん張り、馬群を避けて走り続けました。
それはひとえに鞍上にいた武豊さんを落とさないためで、実際に馬群を避けたあとは安全な場所に移動しています……が、これによって骨折は悪化してしまい、左前脚は「手根骨粉砕骨折」という状態になってしまいました。
もはや手の施しようはなく、規定に従ってサイレントスズカは安楽死の処置がされます。
普段は感情的にならない武豊選手はサイレントスズカの死に深いショックを受け、号泣して取り乱した挙句、その日の夜は泥酔するまで知り合いとともにワインを飲みまくったそうです。
その後もサイレントスズカの話題になると笑顔は引っ込み、話を振られることすら拒みました。
とはいえ完全に拒否しているわけでなく、雑誌のインタビューなどでポツポツとサイレントスズカを語っているのも確認されています↓
・「なかなかいない。あのトップスピードで、あれだけの骨折をして転倒しない馬は」
・「僕を守ってくれたのかなと思いましたね」
・「今でもすごくよく、サイレンススズカのことを思い出すんですよ。せめてあと数百メートル、走らせてやりたかったな」
・「うん、すごい残念。今でも悔しいですもん」
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なぜ故障した競走馬を安楽死させるの?
まず訂正しておきたいのは「骨折=安楽死」ではないことです。
例えばトウカイテイオーは3回骨折しながらも現役を全うし、25歳まで生き抜きました。
それはひとえに治る見込みがあったこと、もとい複雑骨折ではなかったからです。
「競走馬を安楽死させるなんて可哀想」という声もありますが、現実は逆です。
安楽死しなければ競走馬には地獄の日々が待っています。
馬という生き物は4本の脚があってこそ立つことができるのですが、当然、そのうちの1本がなくなってしまうと立つことがままならなくなるのです。
そうなるとずっと横ばいの状態で過ごすことになるものの、その状態では身じろぎもできないので皮膚からどんどん腐っていきます。
そうでなくても競馬界はヤクザじみた一面があり、心ない馬主や厩舎がこれまで頑張ってきた競走馬を馬刺しにしたり、もがき苦しんでいる競走馬を平気でほったらかしにするケースもあるのです。
そうした最悪を避けるため、第三者の目が届くうちに安楽死させています。
アニメ「ウマ娘」サイレントスズカはどうなったの?
スペシャルウィークの機転とトレーナーの対応のおかげで最悪を免れたサイレントスズカは気が付くと病院のベッドに横たわっていました。
「元のように走れるか分からない」、遠まわしにレースへの復帰は絶望的だと告げられてもサイレントスズカは復帰のために長期間のリハビリを挑みます。
そして第11話、秋の天皇賞から1年1ヶ月後のレースにサイレントスズカは出走することになりました。
ブランクのせいかスタートは遅れてしまい、最後尾になってしまうものの、因縁のポイントである大欅から溜めていた力を発揮させてなんと「追い込み」をしていくのです。
「追い込み」とは最後のコーナーからギアを上げていき、先頭を取る走りを指します。
サイレントスズカはそれまで後方にいたのが嘘だったかのように前方にいたウマ娘を追い抜き、ついには先頭のサンバイザーさえも抜いて勝利をおさめました。
現実ではあり得なかったIFに視聴者からは
・無事でよかった……!
・スペちゃんとの関係を思い出して泣いた
・サイレントスズカが無事だった世界をせてくれた「ウマ娘」には感謝しかない
と感動のツイートが後を絶ちません。
実はアニメ「ウマ娘」season1が放送したのは2018年、折しも「沈黙の日曜日」から20年後でした。
当時は現在ほど「ウマ娘」は注目されていなかったものの、「沈黙の日曜日」を知っていた競馬ファンは7話および11話を視聴して涙を隠せなかったと言います。
サイレントスズカってどんなウマ娘なの?性能は?
それでは「ウマ娘」のサイレントスズカがどんなウマ娘なのか、説明しておきましょう↓
・サイレントスズカ(CV.高野麻里佳)
誕生日 | 5月1日 |
身長 | 161cm |
体重 | 増減なし |
スリーサイズ | B70・W58・H79 |
得意なこと | 走り続けること |
苦手なこと | 人の多い場所 |
好物 | いちご大福 |
先述したように「ウマ娘」のサイレントスズカは競走馬サイレントスズカをモデルとしています。
競走馬サイレントスズカは先頭をキープし続け、そのままゴールする「逃げ」という走りを得意としていました。
現在の競馬界ではその走りは基本中の基本であるものの、競走馬サイレントスズカの走りは「大逃げ」と呼ばれるほど圧倒的でした。
キャラ
オレンジのような明るい茶髪にロングヘアー、そして青い目をした美少女です。
緑の耳カバーをしているのも特徴に挙げられます。
スレンダーな体型をしていますが、何よりも目を引くのはその儚げな雰囲気でしょう。これは競走馬サイレントスズカに起こった悲劇「沈黙の日曜日」をリスペクトしたものだと考えられています。
その雰囲気にふさわしいというべきか、物静かで無口、そしてクールなウマ娘です。
走ること以外に興味はなく、ストイックにトレーニングに打ち込む姿は目撃されています。
とはいえサイレントスズカは本当に走ることが大好きで、特に「逃げ」を得意としているのでそれを抑えた走りをすることは好みません。
アプリでは専用のストーリーにて別トレーナーの指示で「逃げ」を封じたところ、ローテーションになったほどです。
(プレイヤーであるトレーナーのおせっかいで何とか持ち直し、これがきっかけでサイレントスズカはプレイヤーの担当ウマ娘となります)
勝負服は緑を基調とした学生服のような白い衣装です。
黒い手袋や黒いリボンも着用しており、衣装のあちこちに飾られた金色がフォーマルな衣装でありながらも着用しているサイレントスズカの品の良さを引き立てています。
性能
走りは「ウマ娘」でリスペクトされており、サイレントスズカは「逃げ」に特化したウマ娘となっています。
「習得スキル」集中力はスタートダッシュが決められるスキルで、たとえ出遅れたとしても速度の低下は抑えられるようになっています。
同じく「習得スキル」押し切り準備と前途洋々も速度を保つスキルで、特に押し切り準備は作戦が「逃げ」だった場合に最終コーナーで先頭を維持できるスキルです。
これに加えて「覚醒Lv」で習得するスキルはコンセントレーションや逃亡者など「逃げ」でその効果を発揮するスキルとなっており、全てのスキルが発動すれば「逃げ」のままゴールできます。
ゲームシステムの都合上、競走馬サイレントスズカのような「大逃げ」はできないものの、爽快な走りを楽しむことはできるでしょう。
もっともユーザーのなかにはあまりにも「逃げ」に特化しているため、「長距離が走れない」「性能的にいまいち」「サポートカードが残念」「胸が……」など不満を挙げています。
(ちなみに体型に関してはサイレントスズカ本人も気にしているらしく、アプリのロード画面中に表示される一コマ漫画でネタになっていました)
しかし特化型であるゆえに育成が困らないことや所持スキルは軒並み良いものばかりであることなどから初心者でも育てやすいウマ娘であるのは確かです。
まとめ
「ウマ娘」のサイレントスズカが死ぬかもしれないと囁かれていたのは、モデルになった競走馬の悲劇のせいでした。
しかし原典のリスペクトが熱いものの、優しい世界がモットーである「ウマ娘」ではサイレントスズカは命拾いをして再び勝利をおさめます。
アプリでもまた熱い展開となっており、ファンを泣かせたとか。
たとえ性能は微妙だったとしても、やはり彼女は深く愛されていると思います。